防衛省技術シンポジウム2011 特別セッション「福島第一原子力発電所の赤外線温度計測」の補足

 特別セッションでの「福島第一原子力発電所の赤外線温度計測」とは別に、展示ブースにて実際に計測に使った機器やパネル等の展示があり、その中で赤外線温度計測に実際に行かれた方がいらしたので話を伺いました。以下はその要約です。

 ・計測の1時間前にはヨウ素剤を飲むように指示されていた。
 ・計測に使ったCH-47は揺れが強く、ビデオカメラのオートフォーカスの補正が間に合わないのでマニュアル撮影した。
 ・霞目駐屯地からJヴィレッジへ向かう途中に計測時と同じ高度を飛行し、田んぼの畦道等にピントを合わせていた。
 ・Jヴィレッジで、機内で線量測定を行う特殊武器防護隊の隊員を乗せて出発。
 ・技本は基本は後方なので現地任務に慣れていない。重い鉛スーツや防護服で作業は困難で、ヘリ酔いを起こす人もいた。
 ・事前準備ができないので、有り合わせの計測機器や装備で行った。
 ・計測機器をビデオカメラとして使う場合、IEEE1394で出力する必要があったので、ノートパソコンが必要だった。
 ・当初持っていったノートパソコンがヘリの振動で使えなくなることが多々あり、急遽技本でパナソニックのタフブックを5台調達して使った。タフブックはヘリの振動でも問題なく動いた。
 ・計測中、機器を動かせないので手袋を外して素手で作業していた。
 ・撮影はヘリの揺れや風の為、ブレやピンぼけが多く使えないものが多かった。公開されているビデオは写りが良いもの。
 ・原発の上空通過中は撮影失敗しても止めることなどができない。一度に5回撮影することで対処。
 ・揺れがあるため、写真撮影ではなくビデオ撮影だった。
 ・ビデオカメラを固定するシート等は、東急ハンズで買ってきた。
 ・ヘリの中ではインカムで会話するが、フルフェイスマスクをしているのでノートで筆談していた。
 ・自衛官ならマスクをしてもインカムで話せる訓練を受けているが、技官は受けていないので筆談だった。
 ・撮影後、Jヴィレッジに戻り、そこで特殊武器防護隊の除染を受けた。
 ・撮影データは市ヶ谷へUH-1で輸送。無線送信などもあるが、映像データが大きいので現物で送った。
 ・市ヶ谷で分析チームが分析を行い、温度を判定する。
 ・自分は測定するだけだけど、後方は緊急の調達や分析があり、非常に大変だったと思う。
 ・作戦名は「絆作戦」。部内で勝手につけた作戦名。他でそういう作戦名が使われたが、うちが元祖。

以上。完全に記憶ベースですので、記憶違いも多いと思いますが、ご了承ください。

<2011/11/10 23:50>写真追加。
実際に計測に使われたPanasonic タフブック

ヘリ機内の筆談で使われたノート

計測で使われたテープレコーダー。ノートPCより動いてくれたとのこと。